アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について

かゆみを伴う湿疹が繰り返しあらわれ、良くなったり悪くなったりを繰り返します。皮膚が赤くなる、皮がカサカサにむける、皮膚が厚くなる、かさぶたができるなどの症状があらわれることもあります。湿疹はかゆみが強く、左右対称にあらわれることが多いのが特徴です。
アトピー性皮膚炎は慢性的な病気で、1歳未満で2ヶ月以上、1歳以上で6ヶ月以上症状が継続していることも診断の目安になります。

年齢別の症状の違い

乳児期（2歳未満）

乳児の多くは頬や額、頭に赤みや乾燥が生じることから始まります。次にかゆみを伴うブツブツがあらわれ、次第に首や脇、肘や膝などに拡がっていきます。お腹や背中、腕や脚に症状があらわれることもあります。また、重症の乳児の場合では、下腿の外側にみられることもあります。かゆみが強いため引っかいてしまい、ジュクジュクした湿疹とかさぶたができるのを繰り返してしまうことも少なくありません。

小児期（2〜13歳くらい）

顔や頭よりも首や脇、肘の内側や膝の裏側、手首や足首などに症状があらわれることが多くなります。強いかゆみを伴うため患部を掻いてしまい、症状を悪化させてしまうことも少なくありません。重症になると腹部や背部にも症状があらわれます。

思春期以降（13歳以上）

顔や首、胸や背中など上半身に症状があらわれやすくなります。症状のあらわれ方や程度は個人差が大きく、顔に集中して症状があらわれるタイプ、腹部や背部、腕や脚にかゆみの強い湿疹があらわれるタイプ、全身に発赤があらわれるタイプなどさまざまです。肌は全体的に乾燥していることが多く、重症化してしまうことも少なくありません。

アトピー性皮膚炎の原因

原因はまだはっきりと解明されていませんが、近年増加傾向にあることから、近代化による食生活やライフスタイルの変化が関係していると考えられています。食品添加物や防腐剤、界面活性剤や香料など、化学物質の影響も無視できません。
また、肌のバリア機能の低下もアトピー性皮膚炎の要因だといわれています。乾燥するなどして肌のバリア機能が低下すると、外部からの刺激に弱い状態となりアレルギー反応を起こしやすくなってしまいます。
遺伝的要因もあるといわれており、ご家族にアレルギー性疾患の既往歴がある、IgE抗体をつくりやすい体質であるなど、アトピー性素因のある方が多い傾向にあります。
また、ストレスがアトピー性皮膚炎の引き金になったり、悪化させる要因になったりすることもあるため注意が必要です。
アトピー性皮膚炎の要因にはさまざまなものがあり、複数の要因が絡み合って症状があらわれることも少なくありません。

アトピー性皮膚炎の治療

お薬による治療: 一般的に、ステロイド外用薬による治療を行います。症状が改善したようにみえても目に見えない皮膚の部分に炎症が隠れていることがあるため、自己判断で中断せずに指示された通りに塗り続けることが大切です。その他に、炎症を抑える効果のある外用薬や内服薬、注射薬などを使用することもあります。
また、近年開発されたステロイドと異なったメカニズムで効果を発揮し、副作用があらわれにくい新規薬剤を使用することが増えています。
正しいスキンケア: 乾燥は肌のバリア機能を低下させてアトピー性皮膚炎の悪化を招いてしまうため、保湿ケアをしっかりと行うことが大切です。保湿力が高く刺激の少ない保湿剤を選んで、毎日丁寧にケアしましょう。
肌のバリア機能を高めるためには、肌を清潔に保つことも欠かせません。石鹸をよく泡立てて、手でこするのではなく泡で包み込むように洗いましょう。
保湿ケアや洗顔をするときには刺激を与えないように注意し、やさしくケアするようにしてください。