便秘症外来

お子さまの便秘について
便秘は、子どもの約1割にみられるポピュラーな症状です。毎日排便があっても便秘の場合があるため、便の回数や量とともにお腹の張りや腹痛、排便時にいきんで顔が真っ赤になる、排便時に出血がみられるなどの症状をチェックすることが大切です。
風邪や体調不良などによって一時的に便秘になるのではなく、便秘が慢性化しているお子さまには治療が必要な場合があります。便が腸内に長く留まると水分が吸収されて硬くなってしまうため、さらに排便しにくくなるという悪循環を招いてしまいます。
慢性的な便秘はお子さまの健康状態や精神状態にも悪影響を与えてしまうため、排便をコントロールして便秘を改善することはとても重要です。便秘症外来では、薬物療法に加えて適切な排便習慣を身につけられるようサポートします。
お子さまの便秘チェックリスト
- 便通が3日以上止まっている
便秘になると、数日間排便がみられないことがあります。便意がないのか、便意があっても我慢して出さないのかを確認しましょう。 - 便が硬い、または小さな塊状になっている
便秘になると便の水分が失われて硬くなったり、コロコロとした小さな塊になったりすることがあります。 -
排便時のお子さまの様子が苦しそう、不快そうに見える
便秘によって便が硬くなると、より排便しにくくなってしまいます。肛門に傷があり痛くて排便できない場合もあるため注意しましょう。 - お子さまが腹痛や腹部膨満の症状を訴えている
便秘が原因で腹部の張りや不快感、腹痛や吐き気などの症状があらわれることがあります。 - 便の色や臭いがいつもと異なる
便秘によって便の色や臭いが変わることがあります。いつもの便と比べてみましょう。 - お子さまの食欲がない
便秘による腹部の張りや不快感から、食欲が低下することがあります。 - 機嫌が悪い
便秘による腹部の張りや不快感などが、不機嫌としてあらわれることがあります。 -
お腹を押したり、足を引きつけるような行動をとる
腹痛があるときに、お腹を押したり足を引きつけたりすることがあります。いつもと違う行動がみられないかチェックしましょう。
便秘を放置すると…

便秘を改善しないまま放置すると、症状が悪化して健康状態や精神状態に悪影響を与えてしまいます。排便機能の発達が妨げられ、生涯便秘に悩まされることもあるため注意が必要です。また、便秘による腹部の張りや不快感などから食欲が低下すると、健やかな発育の妨げにもなってしまいます。便秘の不快感からイライラして不機嫌になったり、集中できずに多動になったり、便秘が学校生活や人間関係の妨げになるおそれもあります。
健やかな成長を守り生活の質を下げないためには、排便習慣をきちんと身につけることが大切です。便秘症は乳児期からみられることのある病気なので、お子さまの排便状況などをしっかりチェックしましょう。
お子さまの年齢と便秘の関係
乳幼児期の便秘
離乳食が始まると、便秘に悩まされるお子さまが多くなります。離乳食期は今までと食事内容が変わるため水分や食事量が不足することが多く、便が硬くなって排便しにくくなってしまいます。離乳食期から便秘が始まっているのに気付かず、3歳前後のトイレトレーニング時期や小学校入学時期に気付くこともあるため注意しましょう。
離乳食を始める前から便秘がみられる場合には、体の構造的な問題によって便秘になっている可能性があります。出生後すぐに便がみられない、腹部が膨らんでいるなどの症状が見られる場合には必ず医療機関を受診しましょう。
学童期の便秘
学童期はさまざまな理由から便意があるのに排便を我慢してしまい、それが便秘の要因となることが多くなっています。起床してから登校するまで慌ただしく十分なトイレタイムがとれない、授業中にトイレに行きたいと言い出せない、学校で排便したくないなどの理由から、便意を我慢してしまうお子さまも少なくありません。
また、朝ごはんをしっかり食べない、栄養が偏っているなど食生活の乱れから便秘になってしまうこともあります。
便秘症の治療
生活習慣の改善
- 規則正しい生活
- 1日3食決まった時間に食事をする、早めに寝て睡眠時間をしっかり確保する、日中に適度な運動をするなど生活習慣を整えることが大切です。規則正しい生活を送ることで腸内環境を整え、排便を促すことができます。
また、毎朝決まった時間にトイレタイムを設けるのも効果的です。トイレで落ち着いて排便できるよう早めに起きる、便意がなくても便器に座るようにするなどして、毎朝排便する習慣をつけましょう。 - バランスの良い食事
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便秘を解消するにはバランスのとれた食事が欠かせません。食物繊維や乳酸菌などは腸内環境を整えるのに効果的だといわれていますが、そればかり食べると栄養が偏って逆効果となってしまいます。特定の食品を集中して食べるのではなく、いろいろな栄養素をバランスよくとりましょう。
また、水分量が不足すると便秘になりやすくなるため、1日に必要な水分摂取量を確保することも大切です。 - トイレを我慢しない
- 便意を我慢すると排便するタイミングが失われて便秘になりやすくなるため、便意を感じたらできるだけ早くトイレに連れて行きましょう。
トイレトレーニングが負担で便秘になってしまう場合もあるため、お子さまのペースに合わせて無理なく進めることが大切です。ストレスは便秘の原因となるので、トイレトレーニングに嫌なイメージを持たせないようにしましょう。
お薬による治療

便をやわらかくする薬や、大腸の働きを整える薬などによる薬物療法を行います。必要に応じて、浣腸や漢方薬を用いることもあります。
便秘によって便が硬くなると、排便しにくいだけでなく排便時に痛みを感じるようになり、子どもが排便するのを嫌がるようになってしまうことも少なくありません。薬物療法を行って排便しやすくなることで、排便は苦痛なことではなくスッキリ楽になるものだと感じることができます。