舌下免疫療法

舌下免疫療法について
アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)を体内に極少量ずつ取り入れて、アレルゲンを徐々に体に慣らしていく治療法で、アレルゲン免疫療法の一つです。症状を抑えるなどの対症療法とは異なり、体質を改善して根本から治療することも可能です。
現在はスギ花粉とダニアレルギーの舌下免疫療法が行われており、継続して治療することでアレルギー反応が起こらないようにしたり、起こった場合にも症状を軽微に抑えたりすることができます。
薬を舌の下に置いて服用するだけなので痛みなどの負担が少ない、自宅で服用できるため通院回数を抑えられるなどのメリットもあります。
5歳以上で、薬を舌の下に1分ほど置くことができる方などの条件はありますが、舌下免疫療法は約8割の方が効果を得られるといわれています。
舌下免疫療法と皮下投与法の違い

アレルゲン免疫療法には、舌下免疫療法の他に皮下投与法があります。皮下投与法はアレルゲンを皮膚の下に極少量注射して、アレルゲンを徐々に体に慣らしていく治療法です。
皮下投与は注射の痛みを我慢しなくてはならない、投与するために定期的な通院が必要などのデメリットがあります。それに対して舌下免疫療法は、痛みが少なく通院回数も抑えられるため継続しやすい治療法となっています。また、舌下免疫療法は皮下投与法よりも安全性が高いというメリットもあります。
舌下免疫療法の治療について
治療の流れ
はじめに、血液検査をしてアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)を特定します。
舌下免疫療法の対象であるスギ花粉、ダニアレルギーがアレルゲンである場合には、治療を開始できるため窓口もしくはお電話で次回の来院をご予約ください。
ご予約した日時に来院していただき、詳しいご説明を行いながら投与します。初回は院内での投与になりますが、2回目以降はご自宅で投与していただけます。
アレルゲンを含んだ錠剤を舌の下に1分ほど置いてから、飲み込んでいただき投与完了です。副作用を抑えて薬の効果を高めるためにも、投与後5分間はうがいや飲食を避けてください。また、服用後2時間は運動や入浴を控えましょう。
舌下免疫療法は、継続して治療を行うことで効果が得られる治療法です。内服を開始した1週間後に服用量を増やし、一定量を長期間内服します。
舌下免疫療法で対処するアレルギー
スギの花粉症
スギ花粉によって起こるアレルギーで、日本でもっとも多くみられる花粉症です。2020年ごろまでは、10~50歳によくみられ、国民の4割近くが羅患しているといわれていましたが、近年は低年齢化が進んでおり、1歳や2歳ごろから症状が出始める子どもも増えています。罹患率も以前よりも高くなっています。
スギ花粉が飛散する2~4月ごろに鼻水や鼻づまり、くしゃみや目のかゆみなどの症状があらわれ、生活の質を下げる原因にもなっています。
舌下免疫療法はスギ花粉症を根本的に治療して、症状を改善するのに有効です。「シダキュア」などの薬を用いて、継続した治療を行います。
通年性アレルギー性鼻炎
(ダニアレルギー)
ダニの死骸やフンを吸い込むことで起こるダニアレルギーは、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が季節を問わずあらわれます。
ダニアレルギーを起こす主な原因となっているのが、コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニです。これらのチリダニは、布団や絨毯など温かく湿った場所を好んで生息しています。
舌下免疫療法はダニアレルギーを根本的に治療して、症状を改善するのに有効です。「ミティキュア」などの薬を用いて、継続した治療を行い症状をコントロールします。